改正貸金業法の早期完全施行等を求める会長声明

2009.10.29

改正貸金業法の早期完全施行等を求める会長声明

 

深刻な社会問題となった多重債務問題を解決するために2006 年12 月に成立した改正貸金業法は、段階的施行を重ね、いよいよ最終段階である出資法の上限金利の引き下げ、収入の3分の1を超える過剰貸付の禁止(総量規制)等が来年6月までに完全施行される。

借主の生活や事業を破壊する「高金利」や「過剰融資」の規制が実施されることで、改正貸金業法は多重債務対策立法として完成することになる。

改正貸金業法成立後、政府が設置した多重債務者対策本部は、①多重債務相談窓口の拡充、②セーフティネット貸付の充実、③ヤミ金融の撲滅、④金融経済教育を柱とする多重債務問題改善プログラムを策定した。沖縄県ほか全国の都道府県に多重債務者対策本部が設置され、当会も法律専門家団体としてこれに参画し、自治体への連携や無料相談窓口の拡充などに努めてきたところである。

こうした官民を挙げた努力の結果、多重債務者は大幅に減少し、2008 年の自己破産者数も13万人を割り、ヤミ金融被害も減少傾向にあるなど多重債務対策は着実に成果を上げている。

一方、これらの取り組みに逆行して、一部から「規制強化により貸金業者の成約率が低下し倒産する業者も増加している、昨今の経済危機により中小企業の倒産や労働者の失業が相次ぎ、借りられなくなった資金需要者のヤミ金融利用が増加する。」などをことさら強調して、完全施行時期の延期や金利規制・過剰融資規制の緩和を求める動きがある。こうした延期・規制緩和論は、これまでの各界の努力の成果を無にするばかりでなく、自殺者や自己破産者、多重債務者の急増を招きかねないものであり断じて容認できるものではない。

2008 年においても、経済・生活苦での自殺者は全国で年7000 人を超え、減少したとはいえ自己破産者も12 万9000 人に達している。特に当県は、全国一失業率が高く、県民所得も全国最下位という脆弱な経済状況ゆえの多重債務者の多さが指摘されてきたが、平成21 年1月から8月は前年比で自殺者が92 人も増加しており過去最悪のペースとなっている。

必要資金を借りられない人に真に必要なのは法的な保護とセーフティネットの充実そしてヤミ金融の撲滅であり、生活破壊・事業破綻を招く高利・過剰融資ではない。

改正貸金業法の最終段階の完全施行の時期は遅くとも来年6月までとされているが、これの延期あるいは規制の緩和ともなれば、鎮静化した多重債務問題が再燃することは必至であり、ひいては経済苦による自殺者増を招く事態にもなりかねない。

そこで、当会は政府に対し以下の施策の実現を強く求める。

 

  1. 改正貸金業法を本年12月までに完全施行すること
  2. 予算を十分確保しながら多重債務相談窓口を充実させること
  3. 個人及び中小零細事業者向けセーフティネットをいっそう充実させること
  4. ヤミ金融を徹底的に摘発すること

2009(平成21)年10月29日

沖縄県司法書士会

会長崎間敏